生まれた家の庭には、とても大きな桜があった。

それは普通のことで、珍しいことではない。生まれるずうーっと前からあるんだから、空気みたいなもんだ。

ところが、今回都民になって、近所を探検していたら、庭にそれは大きな木のある家があったのだ。

すごい、庭にこんな大きな木があるなんて!素敵!

いや待て、実家の桜のほうがすごくないか?300年か400年前からそこにある桜。何があっても毎年咲いてる桜。枝垂桜。

田舎の広い庭は珍しくない、でも、そこに大きな桜が3本あれば別だ。今年は例年より寒いから、咲くのは遅いよ。と母が言うが、

遠く離れて、その木を思い出す。

狭い東京の多くの人の中に埋もれて思い出す桜は、いつも美しく咲いている。