タケノコ堀り
そろそろ実家にもタケノコの季節がやって来る。
今年は春先が暑くて東京の桜は早かったけれど、そのあと寒さが戻って東北は春が足踏みしているのだ。
実家には昔から竹藪があって季節になると食べ切れないほどのタケノコが採れていた。
子供の頃は毎日三食タケノコが食卓に上ってそれが嫌だった。
タケノコご飯、タケノコのお味噌汁、タケノコの煮物、これが毎日続くから…。
それがあの日以来タケノコが食べられない。
何故かタケノコの放射線量が高いのだ。ベクレルが高い。
原発事故から色々な単位が出てきた。
その中でもシーベルトとベクレルが生活に密着した単位だけれど、初めは意味が分からなかった。
随分背が高いんですねと聞いて、そうなんです100キロあるんですよと答える人はいない。普通なら180センチあるんですよと答えるはず。それはみんな聞いてる意味を知っているから。
それがベクレルなんて何をどう表した単位か分からないから、聞いてもピンとこないのだ。
なんとなく大きな値が良くないのは分かったけれど、その意味が分からないのだ。
実家のある地区はシーベルトはそんなに高くない、生活に除染の予定はない、なのに去年まではタケノコが食べられなかった。
母は今年はたぶん食べられるはずと言っていた、そうなることを祈っているけれどどうなんだろうか。
甥っ子たちが食べるのはちょっと心配なような気もするが母にはタケノコ好きなだけ食べても良いよと言っておいた。
母はもういい歳、10年後を心配して生きている程でもない、タケノコを食べられなかったのが心残りでも仕方がないから。
でも報道されるのは放射線の悪い事ばかりだけれど、治療に使われたり、保養に出掛けたりと放射線にはプラスの作用もある。
タケノコを沢山食べて母が活性化したらそれも困るような気もしないではない。
母は今でもかなり元気なのだ。