おたまじゃくしの大群
実家の隣の家には大きな池があった。
子供の頃はそこが遊び場だった。
今頃か、もう少し暖かくなる頃になるとその池は真っ黒なおたまじゃくしに覆われる。
水面が黒くなるほどおたまじゃくしが孵化するのだ。
もちろんその前には池の底にゼラチンに覆われた沢山の蛙の卵が産み落とされている。
子供の頃はその蛙をガマガエルと呼んでいた、大きくてちょっと手では掴めないぐらい気持ち悪かった。
その蛙たちが沢山池に来て、みんなおんぶ蛙になって卵を産む。
蛙は気持ち悪いがおたまじゃくしは好きだった。
すくってはバケツに入れ、バケツからは水たまりに入れ、そんな事を飽きることなく1日繰り返していた。
あんまり一生懸命になって池に落ちる。いつもの事。
そして走って家の帰り、濡れた服を洗濯機に放り込みまたおたまじゃくしを追いかける。
母は服を洗濯すると服のポケットに入り込んでいたおたまじゃくしが洗濯機の渦の中心に集まって来て、とんでもない事のなるのが嫌っだったらしいがそんな事はお構いなし、毎日毎日遊んでいた。
今考えると池で遊ぶのがそんなに楽しかったのかは謎だが、子供の頃の取るに足らないそんな事が今の自分を作っていることは間違いない。